”ねばならない”思考とは?
「親の期待に応えねば」「お金のために働かねば」など、「~しなければならない」という思考、いわゆる「”ねばならない”思考」を潜在意識に持っている人は多いのではないでしょうか。この思考は社会生活や自己成長のために必要だと思われがちですが、知らず知らずのうちに心や体を消耗させ、自由や幸福感を奪ってしまうことがあります。
この記事では、潜在意識に深く根付いた「”ねばならない”思考」が私たちの人生にどのように影響を与えているのか、また、解放に向けたシータヒーリングのアプローチについて紹介します。
”ねばならない”思考がもたらす影響
“ねばならない”思考の最もやっかいなところは、「完了感が得られないこと」です。
つまり、「これだけやったからもう十分だ」という感覚が得られず、際限なくやり続けてしまう傾向があるのです。
極端な例を挙げてみましょう。
あなたは、「私は人にペンをあげなければならない」という思考を持っているとします。
ある日、隣の同僚にペンを渡すと、喜んで受け取ってくれました。次の日もペンを渡すと、同僚は少し戸惑いつつも受け取ってくれました。が、毎日同じ行動を繰り返すと、段々やんわり断られるようになってきました。
それでもあなたは、「あげなければならない」という思考に従って、同僚が嫌がると分かっていても渡し続けます。しばらく我慢していた同僚ですが、最終的に「あなたとはもう関わりたくない」と、こちらを避けるようになりました。
これ、同僚に渡すものを「ペン」ではなく、「アドバイス」や「指導」に置き換えるとどうでしょう?
あなたも似たようなことをされたり、したりした経験をお持ちかもしれません。
このように、“ねばならない”思考は、やってもやっても終わりがないのです。
それにとらわれている間は、
・自分は本当にそうしたいのか?
・それが必要な場面なのか?
・それをすることは、相手にとって喜ばしいことなのか?
といった視点が抜け落ちてしまいやすく、頭では必要ないと分かっていても、行動を止められなかったり、抑えられたとしても罪悪感や後悔などが生じる場合が多いのです。
私自身もかつて、「自分の価値を証明しなければならない」という思考にとらわれていました。学生時代は親や先生、周りの大人に好かれる優等生で、社会人になってからも仕事に加え、友人のスタートアップビジネスをサポートしたり、資格取得や語学の勉強、果てはトレーナーをつけての本気筋トレにも励んでいました。
その結果、周囲からは「ストイックすぎ!」と驚かれることもあり、ある程度の評価も得ましたが、「自分はまだ不十分」「もっと頑張らないと」という感覚が消えたことはありませんでした。こうした心の緊張は体にも影響します。たまに整体などに行くと、毎回驚くほど全身ガチガチでした。
そして、「こうあるべき」「こうでなければならない」という思い込みは、他人に対しても向けられやすく、相手が自分の期待や基準に沿わないと、不満やストレスを感じやすくなり、家族やパートナーシップ、友人・職場関係などに悪影響を及ぼすことがあります。
「ねばならない」に縛られていると、無意識のうちに自己/他者への評価が厳しくなり、失敗や未達成のときに自分や相手を責めて、その自己肯定感を削っていくことになってしまいます。
そして、自分が心の底で望んでいる生き方や他者との関係性から遠ざかってしまうのです。
”ねばならない”思考は悪なのか?
ここまで、ネガティブな側面を挙げてきましたが、”ねばならない”思考は決して悪ではありません。なぜなら、その思考パターンを持っていることで得ているメリットが必ずあるからです。
たとえば、私が持っていた「自分の価値を証明しなければならない」という思考パターンは、それを実行するなかで他者からの承認や評価が得られ、自分の属するコミュニティに居場所を確保することができます。また、「人に優しくしなければならない」は他者からの感謝や人との繋がりを、「お金のために働かなければならない」は安定した生活を保障してくれるなど、人が安心・安全・豊かに生きていくために大いに貢献してくれる側面もあります。
ただし、先述したように、長期的には自分を縛りつけ逆に生きづらさを生む要因にもなるため、あなたが自分の本来の価値観や感覚を取り戻したいと願うなら、自分の潜在意識に、どんな“ねばならない”思考があるのかを知り、それを手放していくことが大切です。また、それは自己肯定感を回復させる大切なアプローチでもあります。
”ねばならない”思考はどこからくるのか?
では、このように、私たちの人生に多大な影響を及ぼす”ねばならない”思考は、どこからくるのでしょうか?
それは潜在意識にあり、たいてい自分自身が意図してつくり出したものではありません。家庭や学校教育、社会通念などが強く影響しています。
6歳までの子供の脳波は、ほとんどデルタ波やシータ波です。分析思考が全くできないので、言われたことを鵜吞みにすることで生きる術を獲得していきます。生存に直結する分、潜在意識に深く刻まれていくのです。
よって、たとえば両親や先生から「こうするべき」「~でなければならない」と頻繁に言われたり、期待されたりすると、子どもはその価値観を無意識に受け入れ、大人になっても「自分はそうでなければならない」と思い込むようになります。
更に、社会全体の「こうあるべき」という規範も影響します。たとえば、「安定した仕事に就かなければ」「結婚し子供をもつべき」というような社会的な期待が、個人の価値観にも根付き、自分への強いプレッシャーとなることがあります。
また、なかには過去の失敗や挫折の体験から、「再び失敗しないためには、必ず~をしなければ」という防衛本能として身につける場合もあります。
シータヒーリングの観点では、“ねばならない”思考は、自分自身が直接体験したり、見たり聴いたりしたものだけでなく、先祖が体験したものを遺伝的に引き継いでいたり、どこかの時代の過去生でつくり出されたものを無意識に採用していたり、魂レベルでそれをやると決めていたり、という場合があります。
シータヒーリング 解放のアプローチ
では、シータヒーリングでは、”ねばならない”思考にどのように働きかけていくのでしょうか?
まずは、思考パターンのチェックリストや筋肉反射テスト、リーディングなどで自分の潜在意識にある“ねばならない”思考を特定します。
その後、「その思考はどう役立っているのか?」「そこからどんな学びや美徳を得ているのか?」などを掘り下げ、無理に押さえ込むのではなく、その思考のポジティブな側面を理解しながら解放するプロセスを踏みます。
もしその思考が、今の自分にとって完全に不要であると分かった場合は、潜在意識から引き抜くことも行いますが、持っていることがプラスになると思うのであれば、「~をせねばならない(have to~)」を「~を選択します(choose to~)」などに置き換えていきます。
たとえば、「人に優しくしなければならない」という思考パターンを持っていた場合、その人はこれまで自分を犠牲にしたり、後回しにしたり、人に譲ってばかりいたかもしれません。それを「私は人に優しくすることを選びます」に置き換えることで、状況に応じて柔軟に対応し、いつ・どのように・誰に対して優しくするのか、自分の意思で選ぶ自由が生まれます。
さらに、シータヒーリングの感覚感情のダウンロードで、
・「自分を大切にしながら相手も大切にできる、その最高最善のバランスがいつでも分かり、行動に移せる」
・「時に自分を最優先にしてもいいと自分に許可を出せる」
などの感覚も同時に潜在意識に呼び覚ましていくことで、無理せず心地よい感覚のなかで望む選択ができるようになります。
こうして自分の意思で決めた行動には意味や価値が見出され、自分自身が人生を選択し、創り上げているという実感が高まります。逆に、他者への無意識の期待や押し付けは薄まり、人間関係も楽になっていくでしょう。
こんなふうに、“ねばならない”思考を手放していくと、随分生きやすくなると思いませんか?
もしこの記事を読んで「自分も“ねばならない”思考にとらわれているかもしれない」と感じたら、ぜひ一度シータヒーリングセッションを受けてみてください。自分のこだわりや執着を手放すことって、実はカンタンなんですよ。