私には息子が1人いますが、実はこの子を産む前に赤ちゃんを2人亡くしています。1人は子宮外妊娠、もう1人は流産です。この経験に対して、私がシータヒーリングから得た癒しのプロセスと、未来を見つめるためにどんな気づきが得られたのかを、2回に分けてシェアしたいと思います。
この記事が少しでも、同じような経験をされていたり、現在妊娠を望んでいる女性たち、そしてそのパートナーの方々の力になれることを願って。
初めての妊娠
私の初めての妊娠は、2021年11月でした。
ある日、下腹部の痛みとともに出血が始まりました。最初は月経かと思いましたが、痛みがどんどん増していき、翌日には普通に歩けなくなるほどに。さすがにおかしいと思い、婦人科クリニックで診察を受けた結果、医師から「妊娠反応が出ているものの、胎嚢が確認できず、子宮外妊娠の可能性がある」と告げられました。
子宮外妊娠とは、卵管など子宮以外の場所に着床してしまうことで、妊娠の継続は不可能です。その上、処置が遅れると、卵管破裂等の大量出血による母体死亡を引き起こしかねないため、即座に大学病院に入院すること、また緊急手術の可能性もあることを告げられました。私は、自分の妊娠を知ると同時に、赤ちゃんが助からないこと、自分の命も危ぶまれていることを知り、茫然としました。何が起こっているのかよく理解できず、この時は先生とのやり取りも、夫への報告も、淡々としていました。
そして大学病院での検査の結果、妊娠初期に急激に分泌されるhCGホルモンの値が上昇し続けていることから、子宮外妊娠が確定。出血している右卵管が妊娠箇所だろうと診断されました。ただ、出血の状態から、卵管妊娠→流産に移行している可能性があり、もし胎嚢が自然排出した場合は手術しないですむかもしれない、もう少し様子を見ましょうとのことでした。
コロナ禍の面会制限で会えない夫には、電話で検査結果や診断を伝えることに。それまでは冷静さを保てていたのですが、話しているうちに急に感情が溢れてきて、全身が震え、涙も止まりませんでした。そして、心の奥底では妊娠をうれしく思っていること、どうやっても赤ちゃんが助からないのがたまらなく悲しいこと、手術になるかもしれないのが怖いことなどを、泣きながら話しました。夫は優しく寄り添ってくれましたが、一度溢れた気持ちはなかなか落ち着きませんでした。
喪失の痛み
そして入院3日目の朝、hCGホルモンは前日の2倍まで上昇。一方で、卵管出血による貧血がどんどん進行していました。これ以上は母体の命が危険とのことで、そのまま緊急手術に移行すると告げられました。
しかし、hCGホルモンが上昇しているのを見た私は、赤ちゃん自身はまだ生きようとしているように感じ、その命を手術で無理やり終わらせることを受け入れられません…。どうやっても赤ちゃんが助からないのであれば、せめて、自然に命が終わる流産という形を望んでいました。なので、先生に何度もお願いして、流産になるかもしれないなら、もう少しだけ待てないかとお願いしましたが、それは叶わず、そのまま午前中のうちに手術し、卵管ごと胎嚢を切除することになりました。
全身麻酔から目覚めた後は、気管挿入で傷ついた喉や下腹部の激痛、繋がれた沢山の管などでほとんど身動きできず、そのまま人生で最も辛い一晩を過ごしました。翌日、執刀医からは、腹腔内は相当出血が進んでいて、肝臓の方にまで血が溜まっていた、手術を延期していたら本当に危なかったかもしれないと言われました。改めて、私の命を救ってくださった先生に感謝です。
そして退院後、体は少しずつ回復していきましたが、反対に気持ちはどんどん不安定になっていきました。手術直後はほとんど悲しみを感じず、「私はなんて冷たい人間なんだろう。大量の血と赤ちゃんと一緒に、悲しさも出ていっちゃったんだろうか」と思ったのですが、今から思えば、その時は生物として危機に瀕した体の回復に全エネルギーを集中させていたのでしょう。
だから、体調に余裕が出てきた頃に、心の危機が一気に浮上したのです。その時既にシータヒーリングを学んでいましたが、自分でこの体験に向き合うにはあまりにも辛く、セッションを依頼しました。
シータヒーリングセッション 赤ちゃんからのメッセージ
シータヒーリングのセッションは、まず体のヒーリングから始まることに。手術による傷やトラウマが、私の体内に深く刻まれていることが分かり、それを一つ一つ癒していきました。そして、その後に受け取ったのは、赤ちゃんからのメッセージ。
「赤ちゃんがね、『ほんとは自分が子供を望んでるってこと、これでわかったでしょ?』って笑いながら言ってますよ」と。
実はそれまで、私はあまり子供がほしいとは思っていませんでした。夫婦2人の生活が楽しく、愛猫もかわいくて、自由に好きなことができて。そんな満ち足りた生活が、子供という存在によって損なわれてしまうのではないかと恐れていたんです。
でも、両親に孫を見せてあげた方がいいんじゃないか、トライする前から子供を持たないと決めたら、いつか後悔するんじゃないか、周りにどんどん子供ができたら置いていかれる気持ちになりそう、といった心配もしてました。今思えば、本質的じゃないことばかり考えて、自分の本当の気持ちに向き合っていなかったんです。
そんな頭でっかちな私をサポートするために、赤ちゃんはちょろっと私のお腹に入ってきて、上っ面の思考や気持ちを吹き飛ばし、心の奥にある気持ちを自覚させてくれたのです。目的が叶った赤ちゃんのエネルギーは、セッション中ずっと上機嫌で、「お腹に行ってみたのおもしろかった~!いつか生まれるよ~。」とケラケラ笑いながら私のエネルギーの近くにいてくれました。
この時のシータヒーリングセッションのおかげで、赤ちゃん自身は全く苦しんだり傷ついたりしていないことが分かったのは大きな救いでしたが、もっと早く自分の気持ちに向き合っていれば、私自身も傷つく必要なんてなかったはずです。
シータヒーリングセッション 気づき
それまでの私にとって、自分の気持ちに目を向けず、思考ばかり働かせておくことは、自分を守りながら人生を前進させていくための、大切な手段でした。
ですが、表層的な思考やジャッジメントのなかに、本当に大切なことはありません。真に自分の人生を尊び、軽やかに前進していくためには、自分の心の奥にある想いに耳を傾けなければなりません。そこに蓋をして生きてきた私は、初めて授かった赤ちゃんを亡くすという、自分の心と体が深く深く傷つくプロセスを経て、やっと目が覚めたのです。
最終的に、このシータヒーリングセッションで、「子供を産むと、自由がなくなる」「母親になることが怖い」「気持ちに蓋をすることで、優秀な強い自分でいられる」といった潜在意識のブロックを解放することができ、「ほんとうは子供がほしい」という自分の気持ちを受け止められるようになりました。
人生の真ん中に、自分の想いを
今、この記事を読んでいるあなたは、ご自分の本当の気持ちや願いに、素直に耳を傾けていらっしゃいますか?なかには、いつのまにか社会通念や、誰かの言葉、自分の恐れや不安ばかりにフォーカスしてしまっている人もいらっしゃるかもしれません。
特に、結婚や出産といったライフイベントは、外部の期待や社会的なプレッシャーを意識するあまり、自分の本心を見失ってしまうことがあります。様々な人との関係性の中で決めていくことでもあるため、必ずしも自分の気持ちばかりを優先できないこともあるでしょう。
それでも、自分の人生なのです。
周りの人の都合や期待などではなく、自分の本当の想いを人生の真ん中におき続けることが大事なのではないでしょうか。
自分の本心を無視し続けていると、今回の私のように、時に病気や大ケガといった強引な方法で軌道修正が図られることがあります。こうしたことは、ライフイベントに限らず、人生のあらゆる面で起こりえます。そして、誰がその強引な修正を引き起こしているのかというと、自分自身。
もしあなたが、自分の気持ちに蓋をしているかもしれないと思ったら、一度立ち止まり、自分の内側にアクセスしてみてください。自分で向き合うのが難しい場合、心を許せる人に相談したり、シータヒーリングでも、それ以外のセッションでもいいので、ぜひ他者からのサポートを受けてみてください。そうして本心からの選択ができたとき、人生はきっと、今まで以上にあなたに開いてくれるでしょう。